公開日:2026年9月9日|執筆・監修:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長)
こんにちは。和歌山市和歌浦の和歌の浦翔鍼灸接骨院です。
「投げると肩が痛いけど、レギュラーを外されたくないから言えない」「秋の大会まであと1か月、休ませたくない」。野球肩のご相談は、選手本人よりも保護者の方や指導者の方から先に届くことがよくあります。
この記事では、投球で肩が痛くなったときにまず確認すること、投球数の目安、そして研究で分かっている「いちばん危険な行動」を書きます。結論を先に言うと、それは「球数」でも「球速」でもなく、腕が疲れているのに投げ続けることです。
【この記事の結論】
1. 手術に至った投手を調べた研究では、「腕が疲れているのに投げ続ける」が36倍という、他を大きく引き離すリスク要因でした。
2. 次いで「年間8か月を超えて投げる」が5.1倍、「1試合で80球超」が3.8倍です。
3. 野球肘のピークは11〜12歳、野球肩のピークは15〜16歳。年代によって起こりやすいケガが違います。
4. 全力投球数の目安は、小学生50球/日・200球/週、中学生70球/日・350球/週、高校生100球/日・500球/週。1日2試合の登板は避けるべきとされています。
5. 投球以外(腕を上げるだけ、夜寝ているとき)でも痛む場合は、まず整形外科の受診をおすすめします。
1. 野球肘と野球肩は、痛くなる年齢が違う

図1|野球肘と野球肩は、痛くなる年齢が違います
小学校高学年で多いのは肘、中学後半から高校にかけて増えるのが肩です。体が大きくなり、球速が上がってくる時期に、肩へかかる負担が一気に増えるためです。
同じ「投げると痛い」でも、年代によって疑うべきものが変わります。特に成長期は、骨の成長線(骨端線)に問題が起きていることがあり、この場合はレントゲンでの確認が必要です。当院で判断がつかない場合は、必ず整形外科の受診をおすすめします。
2. 投球のどの場面で痛みますか
当院が最初に細かく聞くのは、「どのタイミングで痛むか」です。投球は0.15秒ほどの間に肩が最大限に動く動作で、どの局面で痛むかによって、負担がかかっている場所が変わります。

図2|投球のどの場面で痛みますか
いちばん大事な分かれ道は、投げるときだけ痛いのか、日常でも痛いのかです。腕を上げるだけで痛い、夜間に痛む、力が入らないといった場合は、投球のフォームやコンディションの問題ではない可能性があります。この場合はまず医療機関へ。
3. いちばん危険なのは「疲れているのに投げ続ける」
肩または肘の手術を受けた10代の投手95人と、ケガをしていない投手45人を比べた研究があります。何がリスクを高めていたのかを見た結果が、これです。

図3|肩・肘の手術に至るリスクを高めた要因
球数や年間の投球期間もリスクですが、「腕が疲れているのに投げ続ける」は36倍。ほかの要因とは桁が違います。
ここが大事なところです。多くの選手と保護者の方は、「痛くなったら休む」と考えています。ですがこの研究が示しているのは、「疲れたら休む」でなければ間に合わないということです。痛みが出た時点で、すでに組織にはダメージが起きています。
「今日は腕が重い」「いつもより指にかかりが悪い」。この段階で降ろせるかどうかが、その選手が何年野球を続けられるかを左右します。指導者の方にこそ知っておいていただきたい数字です。
4. 全力投球数の目安

図4|全力投球数の目安
これは日本臨床スポーツ医学会が示している目安です。あわせて、1日2試合の登板は避けるべき、投手と捕手は各チーム2名以上を育てることが望ましい、シーズンオフを設けて野球以外のスポーツに触れる機会をつくることも提言されています。
「年間8か月を超えて投げる」が5倍のリスクだったことを考えると、オフをきちんと取ることは、練習量を増やすことと同じくらい大事だと言えます。
5. なぜ肩だけを診ても戻らないのか
投球は、足の裏から始まって指先で終わる全身の動作です。地面を踏んだ力が、股関節・体幹・肩甲骨を通ってボールに伝わります。この途中のどこかが働かなければ、足りない分を肩が埋めることになります。
投球障害でご相談に来られる選手に多いのが、次の3つです。
・肩の後ろが硬い——腕を減速させる筋肉が張り、腕の通り道が狭くなる
・肩甲骨が動かない——腕を上げるときに肩甲骨がついていかず、肩の関節だけで動かしている
・股関節が使えていない——踏み込みで力を作れず、腕を強く振ることで補っている
肩だけをほぐしても翌週にはまた痛くなる、という場合、原因はたいてい肩の外側にあります。
6. 当院での進め方

図5|当院での進め方(投球障害)
まず確認するのは、いつまでに、何に間に合わせたいかです。大会が近いのか、オフに入るのか。それによって取れる選択肢が変わります。「とりあえず安静に」とも「大丈夫、投げていい」とも言いません。今の状態で投げ続けたらどうなるかを、正直にお伝えします。
施術は、手技・鍼灸・物理療法(超音波と電気を組み合わせたEU-910など)を組み合わせます。そのうえで、肩甲骨・胸郭・股関節の動きを戻していきます。
痛みが引いたあとがいちばん大事です。同じ体のまま同じ球数を投げれば、同じところが痛くなります。投球に必要な筋力と動きを戻す段階は、同じ建物に併設しているパーソナルジムで続けられます。ご利用は任意です。
併設|Titanium Fitness Gym
【和歌山市のパーソナルジム】Titanium Fitness Gym >
実際にお寄せいただいたお声
「野球をしていて、肩を痛めてボールを投げられない時に、はり、ストレッチ、マッサージなどしていただいています。痛みが軽くなり、投げられるようになりました。普段は自分でトレーニングやケアをしていますが、疲労が溜まって痛くなった時に利用しています。」
— かめかめ 様
※Googleクチコミより引用。個人の体験であり、同じ結果をお約束するものではありません。効果の程度や期間には個人差があります。
7. 正直にお伝えします
◎ はっきりしていること
・「腕が疲れているのに投げ続ける」ことのリスクは、球数や球速より桁違いに大きいと報告されています。
・年間8か月を超えて投げること、1試合80球を超えることも、リスクを高める要因として示されています。
・投球数と休養日の目安は、日本臨床スポーツ医学会が具体的な数字で示しています。
△ 注意して読んでいただきたいこと
・当院ではレントゲンやMRIが撮れません。骨や関節唇の状態を確かめるには、整形外科の受診が必要です。
・「このフォームなら絶対に痛くならない」というフォームはありません。フォームは体の状態によって変わります。
・施術で「次の試合に必ず間に合わせる」ことはお約束できません。間に合わない可能性がある場合は、そう申し上げます。
・成長期の選手では、休むこと自体が最善の選択になる場合があります。試合に出したい気持ちとぶつかることもありますが、そこは正直にお話しします。
「痛い」と言う前の「重い・だるい」の段階で、ご相談ください。
LINEで24時間 予約・相談 >
電話で予約 090-6843-5170 >
8. よくあるご質問
Q. 大会が近いのですが、投げながら治せますか。
A. 状態によります。投げながら整えられる場合もあれば、いま投げ続けると次の大会どころではなくなる場合もあります。検査のうえで、投げた場合のリスクを具体的にお伝えし、判断の材料をお渡しします。決めるのは選手とご家族です。
Q. どれくらいで投げられるようになりますか。
A. 痛めた程度と、これまでの投球量によって変わります。初回の評価のあとに、おおよその見通しと、復帰までの段階をお伝えします。「何日で治る」と断定することはできません。
Q. 整形外科で「異常なし」と言われました。それでも痛いです。
A. 画像で異常がなくても、肩甲骨や股関節の動きが投球に追いついていないことがあります。重い病態が否定されているのであれば、当院でお役に立てる可能性があります。検査結果が分かるものをお持ちください。
Q. 健康保険は使えますか。
A. 「いつ・どの投球で痛めたか」がはっきりしている急性のケガであれば、対象になる場合があります。使いすぎの蓄積による痛みは原則として対象外で、自費になります。初回に確認し、費用を先にご説明します。
Q. 投球フォームも見てもらえますか。
A. 動作を確認したうえで、体の使い方としてお伝えできる範囲でお話しします。ただし、技術指導は指導者の方の領域です。当院がお伝えするのは「その動きができる体になっているか」の部分です。
Q. 保護者だけで相談に行ってもよいですか。
A. かまいません。ただ、実際の動きを見ないと分からないことが多いので、可能であれば選手ご本人とご一緒にお越しください。
Q. 部活のあと、遅い時間でも診てもらえますか。
A. 受付は9:30〜22:00、年中無休です。練習後の遅い時間でもお越しいただけます。無料駐車場を完備しています。
まとめ
・野球肘のピークは11〜12歳、野球肩のピークは15〜16歳。
・いちばん危険なのは「腕が疲れているのに投げ続ける」(36倍)。痛みではなく疲れの段階で止める。
・年間8か月を超えて投げる(5.1倍)、1試合80球超(3.8倍)もリスク。オフを取ることは練習と同じくらい大事。
・投球数の目安は小学生50球/日、中学生70球/日、高校生100球/日。1日2試合の登板は避ける。
・投げるときだけ痛いのか、日常でも痛いのかが最初の分かれ道。日常でも痛むならまず整形外科へ。
・肩だけ診ても戻らない。肩甲骨・胸郭・股関節まで含めて整える。
参考文献
1. Olsen SJ 2nd, Fleisig GS, Dun S, Loftice J, Andrews JR. Risk factors for shoulder and elbow injuries in adolescent baseball pitchers. The American Journal of Sports Medicine. 2006;34(6):905-912.
2. 日本臨床スポーツ医学会 学術委員会 整形外科部会「青少年の野球障害に対する提言」
3. USA Baseball / Major League Baseball. Pitch Smart: Pitching Guidelines by Age.
4. Vickers AJ, Cronin AM, Maschino AC, et al. Acupuncture for chronic pain: individual patient data meta-analysis. Archives of Internal Medicine. 2012;172(19):1444-1453.
5. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の支給基準」
執筆・監修 石川 翔(いしかわ しょう)
和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長/Titanium Fitness Gym 代表トレーナー
・柔道整復師(国家資格)/はり師・きゅう師(国家資格)
・3年制の医療系養成校を2校修了。柔道整復師は学年首席で卒業
・バスケットボールチーム「ONELYS wakayama(ワンリーズ和歌山)」チームトレーナー(Bリーグ入りを目指すSB1リーグ所属/ジム・接骨院としてオフィシャルパートナー契約)
・プロゴルファー 濱田茉優 選手 ツアートレーナー
和歌の浦翔鍼灸接骨院
〒641-0022 和歌山県和歌山市和歌浦南3丁目9−1 FSビル 1F
TEL:090-6843-5170/無料駐車場完備
受付時間:9:30〜22:00(年中無休・完全予約制)
交通事故の方:朝7:00〜夜23:00(土日祝も対応)
併設:パーソナルジム Titanium Fitness Gym(同じ建物内)
LINEで24時間 予約・相談 >
電話で予約 090-6843-5170 >
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療の指示ではありません。当院は医療機関ではなく、柔道整復・はり・きゅうの施術所です。施術の効果や必要な期間には個人差があり、特定の結果をお約束するものではありません。投球以外でも痛む、腕に力が入らない、しびれがあるなどの場合は、まず整形外科を受診してください。





























