変形性膝関節症・膝の痛み|階段がつらい方へできること|和歌山市

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公開日:2026年9月9日|執筆・監修:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長)

こんにちは。和歌山市和歌浦の和歌の浦翔鍼灸接骨院です。

「階段を下りるときだけ痛い」「立ち上がる最初の一歩がつらい」「病院で軟骨がすり減っていると言われたが、この先どうすればいいのか分からない」。膝の痛みでご相談に来られる方の多くが、この3つのどれかです。

膝は、湿布と痛み止めで様子を見ているうちに、動く量が減り、支える力がさらに落ちていきやすい場所です。この記事では、膝の痛みに対して何がどれくらい効くと分かっているのかを、研究の数字ごと正直に整理しました。効果が示されていないものも、そのまま書いています。

【この記事の結論】

1. 膝の痛みに対して最も多く効果が示されているのは運動です(139件の試験・12,468人のまとめ)。痛みは0〜100点で8.7〜13.1点の改善でした。

2. ただし研究者自身が「患者さんが体感できるほどの変化かはっきりしない」と書いています。運動さえすれば治る、という話ではありません。

3. 体重を1kg減らすと、歩くときに膝にかかる力は約4kg分減ります。

4. 外側ウェッジのインソールは、変形性膝関節症の痛みを減らす効果が研究では示されていません(12試験・885人)。当院では別の目的で使っています。

5. 軟骨のすり減り具合と、痛みの強さは一致しません。画像で変形があっても痛くない方はいますし、その逆もあります。

1. その膝の痛み、どの場面で出ますか

膝の痛みを伺うとき、当院がいちばん詳しく聞くのは「どの場面で痛むか」です。痛む場面が違えば、膝のどこに、どんな向きの負担が集まっているかが違うからです。

階段を下りるとき、立ち上がるときなど膝が痛む場面と、そのときの負担のかかり方を示した図

図1|膝が痛むのは、どんな場面ですか

たとえば階段を下りるときだけ痛い方は、太ももの前の筋肉が体重を受け止めきれず、その力が膝の関節に直接かかっています。この場合、膝そのものをいくら揉んでも場面は変わりません。太ももの前が働けるようにするほうが先です。

2. 「軟骨がすり減っている」=痛みの原因、ではありません

レントゲンで「軟骨がすり減っている」と言われると、多くの方が「もう治らない」と受け取ります。ですが、画像の変形の程度と痛みの強さは、きれいには一致しません。同じくらいの変形でも、痛みがほとんどない方もいれば、強い痛みが出る方もいます。

軟骨そのものには痛みを感じる神経がありません。痛みを出しているのは、その周りの滑膜・靭帯・筋肉・骨などです。だからこそ、変形が戻らなくても、痛みと動きやすさは変えられる余地があります。

当院では、「軟骨を元に戻します」とはお伝えしません。戻せないからです。お伝えするのは、「今の膝で、どこまで楽に動けるようにするか」です。

3. 運動でどれくらい変わるのか(数字で)

膝の変形性関節症に対する運動の効果は、これまでで最大規模のまとめが2024年に出ています。139件の試験、12,468人分です。

139試験12,468人のまとめによる、運動療法で膝の痛みが0〜100点中どれだけ改善したかを示す横棒グラフ

図2|運動で、膝の痛みはどれくらい変わるか

痛みは0〜100点で表したときに8.7〜13.1点の改善、動きやすさは9.7〜12.5点の改善でした。数字だけ見ると小さく感じるかもしれません。実際、研究者自身が「患者さんが体感できるほどの変化かどうかは、はっきりしない」と書いています。

それでも運動が第一に挙げられるのは、これだけの規模で繰り返し確かめられている方法が他にないからです。当院も「運動だけで解決します」とは言いませんが、痛みが落ち着いたあとに運動を入れないと、同じところに戻りやすいと考えています。

4. 体重1kgと膝の負担

体重が多めの方にとって、減量は膝への負担をはっきり減らせる数少ない方法です。

体重を1kg減らすと歩行時に膝にかかる力が約4kg分減ることを示した図

図3|体重1kgと、歩くときの膝の負担

体重が1減ると、歩行1歩あたりに膝にかかる力は約4減ると報告されています。1日に数千歩歩くことを考えると、この差は積み重なります。

ただし、痛い膝で急に運動量を増やすと逆効果になります。順番があります。詳しくはこちらの記事に書きました。
腰痛・膝痛と体重の関係|1kgの減量が膝にもたらすことと、痛めない運動の順番 >

5. 分かっていること・分かっていないこと

当院で行っている内容について、研究でどこまで示されているかを並べます。効果が示されていないものも、そのまま書きます。

運動・減量・鍼・手技・物理療法・インソールについて研究で示されている根拠の強さを並べた図

図4|膝の痛みへの対応、分かっていることの強さ

鍼について 慢性の痛みに対する鍼を、29件の試験・17,922人分のデータで検証した研究があります。変形性関節症では、何もしない場合と比べて効果量0.57、見せかけの鍼と比べて0.37という結果でした。効果はありますが、「差はそれほど大きくない」というのが研究者の評価です。

インソールについて 膝の内側の変形性関節症に対する外側ウェッジのインソールは、12件の試験・885人をまとめた研究で、痛みを減らす効果が示されませんでした。当院でもインソールを作りますが、「膝の変形性関節症を治すため」ではなく、歩行のバランスを整えて足首・膝・股関節への負担の配分を変えることを目的にしています。この違いは、作る前に必ずご説明します。

6. 当院での進め方

膝は、痛みを取るだけで終わると戻りやすい場所です。当院では3段階に分けて進めます。

痛みを落ち着かせる、動く範囲を戻す、支える力をつけるの3段階を示した図

図5|当院での進め方

第1段階では、手技・鍼灸・物理療法(超音波と電気を組み合わせたEU-910など)で、痛みと筋肉の緊張を落とします。第2段階では、膝だけでなく足首と股関節の動きを取り戻します。膝が痛い方は、足首が硬い、股関節が使えていない、ということが少なくありません。

第3段階は、太ももとお尻の筋力を戻す段階です。ここは同じ建物に併設しているパーソナルジムで続けられます。ご利用は任意で、無理におすすめすることはありません。

併設|Titanium Fitness Gym
【和歌山市のパーソナルジム】Titanium Fitness Gym >

7. 先に医療機関へ相談してほしいサイン

次のような場合は、接骨院より先に整形外科で調べていただいたほうが安全です。

・膝が急に腫れて熱を持ち、発熱もある

・膝がロックして伸びない、曲がらない(引っかかって動かない)

・転倒やひねったあとに、体重をかけられないほど痛い

・膝が抜けるように崩れる(膝くずれ)ことが繰り返し起こる

・夜、じっとしていても痛くて眠れない

実際にお寄せいただいたお声

「段差のないところでつまづいたり、しゃがむと腰痛で立ち上がれなくなったり、体の衰えを感じ、トレーニング目的で通うようになりました。そこで翔先生に、腰が硬くて上手く体が動かせていないのではと、不調の原因を見つけて頂き、治療もして頂くようになりました。治療も受けることで、体が動かしやすくなり、トレーニングでは、正しい姿勢を分かりやすく丁寧に教えてくださるので、どんどんトレーニングの効果も上がっていきました。」

— 美佳 様

※Googleクチコミより引用(長い投稿は一部を抜粋)。個人の体験であり、同じ結果をお約束するものではありません。効果の程度や期間には個人差があります。

8. 正直にお伝えします

◎ はっきりしていること

・膝の変形性関節症に対して、運動は最も多くの研究で痛みと動きやすさの改善が示されています。

・体重が多い方にとって、減量は歩行時の膝への負担をはっきり減らします。

・画像の変形の程度と、痛みの強さは一致しません。変形があっても、痛みと動きやすさは変えられます。

△ 注意して読んでいただきたいこと

・運動の効果の大きさについて、研究者自身が「体感できる変化かはっきりしない」と書いています。効果を大きく見せる説明には注意してください。

・すり減った軟骨を、施術で元に戻すことはできません。そう説明する施術所があれば、根拠を確認してください。当院もできません。

・外側ウェッジのインソールに、膝の痛みを減らす効果は示されていません。インソールをすすめられたときは、何のためのものかを確認してください。

・鍼は効果がありますが、見せかけの鍼との差は大きくありません。「鍼だけで治る」とはお伝えしていません。

「年齢のせい」で片づける前に、一度ご相談ください。

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9. よくあるご質問

Q. 膝が痛いのに、運動していいのですか。

A. 痛みが強い時期に、痛い動きを繰り返すことはすすめません。順番があります。まず痛みと腫れを落ち着かせ、動く範囲を戻してから、支える力をつけていきます。どの段階かは検査で判断します。

Q. 何回くらい通えばよいですか。

A. 痛みの強さ、これまでの経過、生活の中で膝を使う量によって変わります。初回の評価のあとに、おおよその見通しと、次回までにしていただきたいことをお伝えします。

Q. 健康保険は使えますか。

A. 接骨院で健康保険が使えるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった原因のはっきりした急性のケガです。何年も続いている変形性膝関節症の痛みは、原則として保険の対象外で自費になります。鍼灸については、医師の同意書があれば保険を使える疾患があります。初回に確認し、費用を先にご説明します。

Q. ヒアルロン酸の注射を受けています。並行して通えますか。

A. 通っていただけます。医療機関で受けている治療の内容を伺ったうえで、こちらで行うことを組み立てます。注射の日程に合わせて内容を変えることもあります。

Q. サポーターは着けたほうがよいですか。

A. 不安定感が強い時期や、長く歩く日には役に立ちます。ただし着けっぱなしにすると支える筋が働きにくくなるため、使う場面を決めて使うようにお伝えしています。

Q. 高齢の親を連れて行きたいのですが、段差はありますか。

A. 建物1階で、無料駐車場は入口のすぐ横です。付き添いの方もご一緒にお入りいただけます。

Q. 手術をすすめられています。行くべきでしょうか。

A. 手術の判断は医師が行うもので、当院がすすめる・すすめないを申し上げる立場にはありません。ただ、手術の前に体力と筋力を落とさないでおくこと、手術後に動きを戻していくことは、当院でお手伝いできます。

まとめ

・膝は「どの場面で痛むか」で、負担のかかり方が読める。

・軟骨のすり減りと痛みの強さは一致しない。変形が戻らなくても、痛みと動きやすさは変えられる。

・運動は最も多く効果が示されている方法。ただし変化の大きさは控えめで、過大な期待は禁物。

・体重1kg減で、歩行時の膝への負担は約4kg分減る。

・外側ウェッジのインソールに痛み軽減の根拠はない。何のために作るのかを確認する。

・痛みを取る → 動く範囲を戻す → 支える力をつける、の順番で進める。

参考文献

1. Lawford BJ, Hall M, Hinman RS, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2024. Art. No.: CD004376.

2. Messier SP, Gutekunst DJ, Davis C, DeVita P. Weight loss reduces knee-joint loads in overweight and obese older adults with knee osteoarthritis. Arthritis & Rheumatism. 2005;52(7):2026-2032.

3. Parkes MJ, Maricar N, Lunt M, et al. Lateral Wedge Insoles as a Conservative Treatment for Pain in Patients With Medial Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis. JAMA. 2013;310(7):722-730.

4. Vickers AJ, Cronin AM, Maschino AC, et al. Acupuncture for chronic pain: individual patient data meta-analysis. Archives of Internal Medicine. 2012;172(19):1444-1453.

5. 日本整形外科学会 監修.『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』南江堂, 2023.

執筆・監修 石川 翔(いしかわ しょう)

和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長/Titanium Fitness Gym 代表トレーナー

・柔道整復師(国家資格)/はり師・きゅう師(国家資格)

・3年制の医療系養成校を2校修了。柔道整復師は学年首席で卒業

・バスケットボールチーム「ONELYS wakayama(ワンリーズ和歌山)」チームトレーナー(Bリーグ入りを目指すSB1リーグ所属/ジム・接骨院としてオフィシャルパートナー契約)

・プロゴルファー 濱田茉優 選手 ツアートレーナー

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療の指示ではありません。当院は医療機関ではなく、柔道整復・はり・きゅうの施術所です。施術の効果や必要な期間には個人差があり、特定の結果をお約束するものではありません。急な腫れや発熱、体重をかけられないほどの痛みがある場合は、まず医療機関を受診してください。

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