公開日:2026年8月2日/最終更新日:2026年8月2日 | 監修:柔道整復師・鍼灸師 石川 翔(和歌の浦 翔鍼灸接骨院 院長)
和歌山市和歌浦の「和歌の浦 翔鍼灸接骨院」です。
「ボールを投げて、肘がピンと伸びきった瞬間だけ、肘の後ろが痛い」——野球をしている中学生・高校生や、社会人プレーヤーの方から本当によく聞くご相談です。
多くの方が「肘筋(ちゅうきん)という筋肉が痛いのでは?」とおっしゃいます。ですが、この痛みは筋肉そのものが原因ではないケースが少なくありません。この記事では、痛みの正体・受診する順番・自宅でできるトレーニングを、図を使って解説します。
- 「押しても痛くない」という痛みが意味していること
- なぜ最初にスポーツ整形外科なのか
- 画像で異常がなかったあと、当院で行うこと
- 自宅でできる前鋸筋(ぜんきょきん)トレーニング
- 成長期に守りたい球数の目安
1まずは30秒セルフチェック
痛む場所を、反対の手の指で直接ギュッと押してみてください。押したときに痛みが出るかどうかで、考えられる原因が変わります。
- 肘が最後まで伸びない、または曲がりきらない
- 動かすと引っかかる感じがする、急に動かなくなる(ロッキング)
- 肘の内側の痛み、手の小指側のしびれ
- 投球後に肘が腫れる、熱をもつ
- 小学生・中学生など成長期で、痛みが2週間以上続いている
2「伸びきった時だけ痛い」の正体
図1|肘を曲げているときは、肘の先端の骨(肘頭)と上腕骨のくぼみ(肘頭窩)の間にすき間があります。しかしリリースからフォロースルーで肘が伸びきると、この2つの骨が勢いよくぶつかります。
後方インピンジメント(骨と骨の衝突)
投球では、腕を振り出してからボールを離すまでの一瞬に、肘が猛烈なスピードで伸ばされます。同時に、肘の内側が開くような力(外反ストレス)も加わります。この2つが重なると、肘頭が肘頭窩に繰り返し打ちつけられます。これを後方インピンジメント(外反伸展オーバーロード)と呼びます。
痛みが起きているのは関節の内部です。だから外から指で押しても痛みが出にくく、「伸びきった時だけ痛い」という特徴的な症状になります。押して痛くない=軽い、ではないという点が、この症状のいちばん怖いところです。
肘筋が疲れると、挟み込みが起きる
肘筋には、肘を伸ばすときに関節を包む袋(関節包)を引き込んで、骨の間に挟まらないようにする役割があります。投げ込みで肘筋が疲労するとこの働きが落ち、関節包や脂肪組織が挟み込まれて、鋭い痛みが出ることもあります。
衝突を繰り返したまま投げ続けると、骨のトゲ(骨棘)ができたり、軟骨がすり減ったり、はがれた骨片が関節の中を動き回る状態(遊離体・いわゆる関節ネズミ)に進むことがあります。こうなると、肘が急にロックして動かなくなり、手術が必要になるケースもあります。
3順番が大事。まずスポーツ整形外科へ
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
私たち接骨院・鍼灸院は筋肉や関節の専門家ですが、レントゲンやMRIなどの画像検査を行うことはできません。骨や軟骨に何が起きているかは、画像でしか確認できない部分があります。
特に成長期の選手では、離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭の軟骨がはがれるもの)や骨端線の障害が隠れていることがあります。これらは初期に自覚症状が乏しいこともあり、触診だけで見分けることはできません。発見が遅れると、競技復帰までの期間が大きく変わってしまいます。
「骨と軟骨に問題がないか」を先に医師に確認してもらうこと。遠回りに見えて、これがスポーツ復帰への最短かつ安全なルートです。当院でも、必要と判断した場合には医療機関の受診をおすすめしています。
4画像で問題がなければ、ここからが当院の役割
整形外科で「手術が必要な骨の変形はない」と診断されたら、次はなぜ骨がぶつかるほど肘に負担がかかっているのかを解決していく段階です。当院では3つの方向からアプローチします。
① 関節の奥の筋肉をゆるめる(鍼灸・物理療法)
関節の中で炎症が起きると、それを守ろうとして周囲の筋肉(肘筋・上腕三頭筋・前腕の筋群)が硬くなります。手技だけでは届きにくい深部に対して、鍼治療や超音波療法(伊藤超短波 EU-910/LIPUS)を組み合わせ、緊張の緩和と回復のサポートを目指します。
② 肘だけを診ない
肘に負担が集中している選手は、その手前にある肩甲骨・胸郭・股関節の動きに制限があることがほとんどです。国家資格者が全身の動きを評価し、どこで連動が切れているかを確認します。
③ 投げる体の土台をつくる
痛みが引いたあと、同じ投げ方に戻れば同じところが痛みます。必要に応じて、併設のパーソナルジムでのトレーニングまで一貫してサポートできるのが当院の特徴です。
※症状の経過や感じ方には個人差があります。すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。
5「手投げ」を卒業する前鋸筋トレーニング
なぜ肘が伸びすぎてしまうのか
ボールのスピードは、腕の力だけで作られるものではありません。地面から始まった力が、股関節・体幹・肩甲骨を順番に通って、最後に腕へ伝わります。この連鎖のどこかが切れると、足りない分を腕の振りで補うことになります。これが、いわゆる「手投げ」です。
全身で投げられているとき
股関節▶
体幹▶
肩甲骨▶
腕
手投げになっているとき
股関節×
体幹×
肩甲骨▶
腕だけで加速
連鎖が切れるほど、肘は速く・強く伸ばされます。骨がぶつかる回数も、その分だけ増えていきます。
カギを握るのが「前鋸筋」
図2|前鋸筋は、脇の下から肋骨に扇のように広がる筋肉です。ここが働くと肩甲骨が肋骨にぴたりと安定し、リリースで肩甲骨ごと前に押し出せるようになります。結果として、肘一点にかかるストレスが分散されます。
自宅でできる【肩甲骨プッシュアップ】
図3|腕立て伏せのように肘を曲げるのではなく、肘は伸ばしたまま「肩甲骨だけ」を動かします。胸の高さは変わりますが、肘の角度は最後まで変わりません。
- 四つん這い、または腕立て伏せの姿勢をとります。手は肩の真下です。
- 肘は絶対に曲げず、真っ直ぐ伸ばしたままキープします。
- 息を吸いながら、肩甲骨を背骨に寄せるようにして、胸をゆっくり床に近づけます。
- 息を吐きながら、手のひらで床を強く押し返し、背中を丸めるようにして肩甲骨を左右に大きく開きます(脇の下の筋肉が働く感覚を探してください)。
- 10〜15回を1セット、2〜3セット
- 腕の力ではなく、肩甲骨の動きに集中する
- まずは四つん這いから。慣れてきたら膝つき、さらに腕立て伏せの姿勢へ
- 首がすくまないよう、耳と肩を離しておく
- 痛みが出る範囲では行わない
- 痛みをこらえて投げ続ける(骨の変形が進むリスクがあります)
- 反対の手で肘を押して、無理に伸ばすストレッチ(ぶつかっている面をさらに押しつけることになります)
- 痛み止めや湿布だけで様子を見続ける
6投げすぎのラインを知る(球数の目安)
後方インピンジメントは、フォームの問題だけでなく「投げた量」でも起こります。判断に迷ったときの物差しとして、日本臨床スポーツ医学会が示している全力投球数の目安を知っておいてください。
| 年代 | 1日 | 1週間 |
|---|---|---|
| 小学生 | 50球以内 | 200球以内 |
| 中学生 | 70球以内 | 350球以内 |
| 高校生 | 100球以内 | 500球以内 |
出典:日本臨床スポーツ医学会「青少年の野球障害に対する提言」。なお全日本軟式野球連盟は、学童野球の公式戦で1日70球の投球数制限をルール化しています。
同じ提言では、野球肘の発生は11〜12歳がピークであること、投手と捕手に圧倒的に多いことも示されています。成長期の骨は、大人よりもはるかに繊細です。「まだ軽いから」と投げ続けた結果、骨や軟骨に変化が残ってしまうことは珍しくありません。
- 投げた球数は、練習も含めて数える(試合だけではありません)
- 連投の翌日は、全力投球を避ける
- 「肘が痛い」と言えない選手がいることを前提に、動きの制限をチェックする
- オフシーズンを設け、野球以外の動きも経験させる
7まとめ
- 押しても痛くない「伸ばしきった時だけの痛み」は、関節の奥からのサイン
- 自己判断でマッサージやストレッチを続ける前に、まずスポーツ整形外科で画像検査を
- 画像で問題がなければ、原因である「体の使い方」を変える段階へ
- 肩甲骨・前鋸筋・股関節が働くほど、肘の負担は減っていく
- フォームと同じくらい、投げた「量」の管理が効く
痛みを取り除くだけで終わらせず、次のシーズンをフルで投げ切れる体をつくること。当院が目指しているのはそこです。肘の痛みでお悩みの選手・保護者の方は、お気軽にご相談ください。
8よくあるご質問
押しても痛くないので、軽いケガということですか?
圧痛の有無と重症度は必ずしも一致しません。むしろ、押して痛くないのに動かすと痛い場合は、関節の内部で起きているサインのことがあります。自己判断はおすすめできません。
アイシングと湿布だけで治りますか?
炎症が一時的に落ち着くことはあります。ただし、骨がぶつかる原因となっている投げ方や体の使い方が変わらなければ、投げ始めると再発しやすい状態が残ります。
どのくらい投球を休めばいいですか?
画像所見と症状によって大きく変わるため、一律にはお答えできません。医師の指示が最優先です。休んでいる間も、下半身や体幹など、肘に負担をかけずにできることはたくさんあります。
健康保険は使えますか?
転倒・打撲など原因がはっきりした急性のケガは、健康保険の対象となる場合があります。使い過ぎによる慢性的なスポーツ障害は自費施術です。施術前に費用をご説明しますので、ご安心ください。
中学生・高校生でも受けられますか?
はい。多くの学生さんにご来院いただいています。初回は保護者の方の同意をお願いしています。部活動のスケジュールに合わせてご予約を調整します。
野球肘は何科を受診すればいいですか?
整形外科、できればスポーツ整形外科・スポーツ外来のある医療機関です。投球障害の診療経験がある先生ほど、成長期特有の所見を見つけやすくなります。どこに行けばよいか分からない場合は、当院からもご案内できます。
治るまでどのくらいかかりますか?
骨や軟骨の状態、投球量、シーズンの時期によって大きく変わるため、一律にはお答えできません。炎症が主体であれば比較的短期間で落ち着くこともありますが、骨の変化がある場合は投球休止期間が長くなります。まずは画像所見をもとに、医師と一緒に見通しを立ててください。
部活を休まずに通えますか?
練習終わりの時間帯でもご予約いただけます。ご予約はLINEが便利です。ただし、投球を続けながらのケアで対応できる状態かどうかは、症状によって異なります。無理のない計画を一緒に考えます。
和歌山市以外からでも行けますか?
はい。和歌山市和歌浦南にあり、海南市・岩出市・紀の川市など近隣エリアからもご相談いただけます。お車でお越しの場合は、ご予約時にお知らせください。
9和歌山市・和歌浦で野球肘のご相談なら
和歌の浦 翔鍼灸接骨院は、和歌山市和歌浦南にある鍼灸接骨院です。柔道整復師・鍼灸師の国家資格をもつ院長が、少年野球からリトルシニア、中学・高校の部活動、社会人野球まで、投球障害のご相談をお受けしています。
部活の後でも通いやすい環境です
- ご予約はLINEから。練習の合間でも連絡がとれます
- 併設のタイタニウムフィットネスジム(24時間営業)で、施術後のトレーニングまで同じ場所で完結します
- プロゴルファーのサポート経験をもつトレーナーが、競技動作から逆算して指導します
- 保護者の方の付き添い・ご相談も歓迎しています
対応エリア
和歌山市(和歌浦・新和歌浦・雑賀崎・紀三井寺・宮前・秋葉町・和歌山市駅周辺など)を中心に、海南市・岩出市・紀の川市・有田市方面からもご相談いただけます。
肘の痛み、シーズン前に整えませんか
国家資格(柔道整復師・鍼灸師)をもつ院長が、施術からトレーニング指導まで一貫して担当します。ご予約・ご相談はお電話またはLINEからどうぞ。
- 院名
- 和歌の浦 翔鍼灸接骨院
- 住所
- 〒641-0022 和歌山県和歌山市和歌浦南3-9-1 FSビル1F
- 電話
- 090-6843-5170
- 併設
- タイタニウムフィットネスジム(24時間営業)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療を保証するものではありません。症状の経過や感じ方には個人差があります。痛みが続く場合は、医療機関を受診してください。