五十肩|時期で対応が変わる理由と、鍼灸の健康保険|和歌山市

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公開日:2026年9月9日|執筆・監修:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長)

こんにちは。和歌山市和歌浦の和歌の浦翔鍼灸接骨院です。

「腕が上がらなくて、後ろのシートベルトが取れない」「服を着るのがつらい」「夜、痛くて目が覚める」。四十肩・五十肩でご相談に来られる方の困りごとは、たいていこの3つです。

五十肩でいちばん大事なのは、今がどの時期かを見きわめることです。時期を間違えて動かすと、かえって長引きます。この記事では、時期の見分け方、時期ごとにすること、鍼灸で健康保険が使える条件、そして「放っておけば治る」という説明が今どう扱われているかを整理しました。

【この記事の結論】

1. 五十肩には炎症期・拘縮期・回復期の3つの時期があり、時期によって「動かす」か「休ませる」かが逆になります。

2. 「1〜2年で自然に治る」と長く言われてきましたが、近年は無治療のまま年単位で動きの制限が残る例が報告されており、この説明は見直されています。

3. 五十肩は、はり・きゅうの健康保険が使える6疾患のひとつです(医師の同意書が必要)。

4. 一方で、接骨院の柔道整復として健康保険を使うことはできません。急性のケガではないためです。

5. 「人に上げてもらえば上がる」場合は、五十肩ではなく腱板断裂の可能性があります。まず整形外科をおすすめします。

1. 五十肩とはどういう状態か

正式には「肩関節周囲炎」、医学的には「癒着性関節包炎」と呼ばれます。肩の関節を包んでいる袋(関節包)に炎症が起き、そこが縮んで硬くなることで、痛みと動きの制限が出ます。

人口の2〜5%に起こるとされ、40代から60代の女性に多くみられます。糖尿病のある方は、そうでない方の約5倍起こりやすいという報告があり、五十肩の方の約30%に糖尿病があるとされています。

はっきりしたきっかけがないまま始まることが多く、「いつからか分からないが、気づいたら上がらなくなっていた」という方が大半です。

2. 3つの時期と、時期ごとにすること

五十肩は、大きく3つの時期をたどります。今どの時期かによって、するべきことが変わります。

五十肩の炎症期・拘縮期・回復期の特徴を並べた図

図1|五十肩は、時期によってすることが変わります

見分ける手がかりは、夜間痛(夜、痛くて目が覚めるか)です。夜間痛が強い時期は炎症期です。この時期に無理に伸ばすと、炎症が長引き、かえって硬くなります。

五十肩の時期ごとにしてよいことと控えたいことを整理した図

図2|時期別・してよいこと/控えたいこと

拘縮期に入ると、痛みは落ち着いてくるかわりに、動く範囲がはっきり狭くなります。ここからは、こまめに動かすことが必要です。入浴後など、体が温まっているときが動かしやすくなります。

3. 「肩が上がらない」=五十肩とは限りません

当院にお越しいただいた方の中には、五十肩ではない方もいます。最初にここを確認しないと、間違った方向に進んでしまいます。

五十肩・腱板断裂・石灰沈着性腱板炎・頸椎からの症状など、肩が上がらない原因の見分け方の一覧

図3|「肩が上がらない」=五十肩とは限りません

簡単な目安として、力を抜いた状態で人に腕を上げてもらったとき、上がるかどうかを見ます。五十肩は関節そのものが硬くなっているため、人に上げてもらっても上がりません。逆に、人に上げてもらえば上がるのに自分では上がらない場合、腱板(肩を動かす筋肉の腱)が切れている可能性があります。この場合は、まず整形外科での確認をおすすめしています。

4. 「放っておけば治る」は本当か

五十肩は長いあいだ、「1〜2年で自然に治る病気」と説明されてきました。ところが近年の報告では、治療をしないまま経過すると、年単位で動きの制限が残る例があることが分かってきています。

また、痛みと動く範囲の改善は早い時期に多く起こるとされています。つまり、「そのうち治るから」と何もせずに過ごす期間が長いほど、取り戻すのに時間がかかる可能性があります。

当院は「施術しなければ治りません」とは言いません。自然に良くなっていく方もいます。ただ、「放っておけば必ず元どおりになる」という説明も、今は正確ではありません。

5. 鍼灸の健康保険(五十肩は対象です)

はり・きゅうの施術に健康保険(療養費)が使えるのは6つの疾患に限られており、五十肩はその中に入っています。

はり・きゅうの療養費の対象となる6疾患と、医師の同意書が必要である条件を示した図

図4|五十肩と鍼灸の健康保険

条件は、医師の同意書があることです。かかりつけの医師に「はり・きゅうの施術を受けたい」とお伝えいただき、同意書を書いていただく形になります。取り方が分からない場合は、当院でご案内します。

注意点がひとつあります。同じ病名について医療機関で治療(処置や投薬)を受けている間は、鍼灸の療養費は使えません。治療のほうが優先されるためです。整形外科に通いながら鍼灸も受けたい場合は、この点をご説明したうえで進め方を決めます。

なお、接骨院の柔道整復として五十肩に健康保険を使うことはできません。柔道整復の保険は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった原因のはっきりした急性のケガに限られているためです。ここを曖昧にせず、初回に必ずご説明します。
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6. 当院での進め方

時期の確認、痛みと緊張を落とす、動く範囲を広げるという3段階を示した図

図5|当院での進め方(五十肩)

肩は、腕の骨だけで動いているわけではありません。腕を上げるとき、肩甲骨が背中の上を滑るように動き、胸郭(肋骨まわり)も一緒に動きます。五十肩の方は、この肩甲骨と胸郭の動きも一緒に失われていることがほとんどです。

そのため当院では、肩の関節だけを触るのではなく、肩甲骨・胸郭・首まで含めて動きを戻していきます。炎症期には鍼灸と物理療法で痛みを落とすことを優先し、拘縮期に入ってから動かす量を増やしていきます。

動く範囲が戻ったあとは、肩を支える筋力を戻す段階に進みます。ここは同じ建物に併設しているパーソナルジムで続けられます。ご利用は任意です。

併設|Titanium Fitness Gym
【和歌山市のパーソナルジム】Titanium Fitness Gym >

7. 正直にお伝えします

◎ はっきりしていること

・五十肩には時期があり、時期によってすべきことが変わります。炎症期に無理に伸ばすのは逆効果です。

・手技で関節を動かすことと運動を組み合わせると、動く範囲と使いやすさが改善するという報告があります。

・五十肩は、はり・きゅうの療養費の対象疾患です(医師の同意書が必要)。

△ 注意して読んでいただきたいこと

・「1回で腕が上がるようになる」という説明には根拠がありません。当院もお約束できません。

・回復までにかかる期間には大きな個人差があります。数か月で戻る方もいれば、1年以上かかる方もいます。

・強い痛みを我慢して伸ばす施術は、炎症期にはすすめられません。「痛いほど効く」は誤りです。

・接骨院の柔道整復として、五十肩に健康保険は使えません。「五十肩も保険でできます」と説明する施術所があれば、何の保険なのかを確認してください。

「年のせい」で終わらせる前に、今がどの時期かだけでも確認しませんか。

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8. よくあるご質問

Q. 四十肩と五十肩は違うものですか。

A. 同じものです。起こる年代で呼び分けているだけで、医学的にはどちらも肩関節周囲炎です。

Q. 痛くても動かしたほうがよいのですか。

A. 時期によります。夜間痛が強い炎症期は、痛みの出ない範囲にとどめます。痛みが落ち着いた拘縮期からは、こまめに動かすことが必要です。今どちらかは、動きと痛みの出方を見て判断します。

Q. どれくらいで治りますか。

A. 個人差が大きく、数か月で戻る方もいれば1年以上かかる方もいます。初回の検査で今の時期をお伝えし、おおよその見通しをご説明します。「いつまでに必ず治る」とはお約束できません。

Q. 鍼は痛くありませんか。

A. 髪の毛ほどの細さの、使い捨ての鍼を使います。ズンと響く感覚が出ることはありますが、苦手な方には刺さない鍼や別の方法もご用意しています。

Q. 整形外科に通いながらでも受けられますか。

A. 受けられます。ただし鍼灸の健康保険については、同じ病名で医療機関の治療を受けている間は使えないという決まりがあります。その場合は自費でのご案内になりますので、費用を先にご説明します。

Q. 同意書はどうやってもらえばよいですか。

A. かかりつけの医師に「はり・きゅうの施術を受けたいので同意書をお願いします」とお伝えください。当院で用紙のご案内と、お渡しするタイミングのご説明をします。

Q. 夜、痛くて眠れません。どうすればよいですか。

A. あお向けで寝るときは、痛いほうの肩の下と、ひじの下にクッションを入れて、腕が後ろに落ちない位置をつくると楽になる方が多いです。横向きで寝る場合は、痛くないほうを下にして、痛いほうの腕は前に出して枕を抱えるようにします。

まとめ

・五十肩は、炎症期・拘縮期・回復期で「するべきこと」が逆になる。

・見分ける手がかりは夜間痛。夜に痛くて目が覚めるうちは、無理に伸ばさない。

・人に上げてもらえば上がる場合は、腱板断裂の可能性。まず整形外科へ。

・「放っておけば治る」は、今は正確な説明ではない。改善は早い時期に多く起こる。

・五十肩は、はり・きゅうの健康保険が使える6疾患のひとつ(医師の同意書が必要)。

・肩だけを触っても変わらない。肩甲骨・胸郭・首まで一緒に見る。

参考文献

1. Ramirez J. Adhesive Capsulitis: Diagnosis and Management. American Family Physician. 2019;99(5):297-300.

2. Vickers AJ, Cronin AM, Maschino AC, et al. Acupuncture for chronic pain: individual patient data meta-analysis. Archives of Internal Medicine. 2012;172(19):1444-1453.

3. 厚生労働省「はり・きゅう及びあん摩・マッサージ・指圧の施術に係る療養費の取扱いについて」

4. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の支給基準」

5. Millar NL, Meakins A, Struyf F, et al. Frozen shoulder. Nature Reviews Disease Primers. 2022;8(1):59.

執筆・監修 石川 翔(いしかわ しょう)

和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長/Titanium Fitness Gym 代表トレーナー

・柔道整復師(国家資格)/はり師・きゅう師(国家資格)

・3年制の医療系養成校を2校修了。柔道整復師は学年首席で卒業

・バスケットボールチーム「ONELYS wakayama(ワンリーズ和歌山)」チームトレーナー(Bリーグ入りを目指すSB1リーグ所属/ジム・接骨院としてオフィシャルパートナー契約)

・プロゴルファー 濱田茉優 選手 ツアートレーナー

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療の指示ではありません。当院は医療機関ではなく、柔道整復・はり・きゅうの施術所です。施術の効果や必要な期間には個人差があり、特定の結果をお約束するものではありません。突然の激痛、力が入らない、しびれをともなうなどの場合は、まず医療機関を受診してください。

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