骨折かもしれないとき|応急手当・接骨院の役割・超音波(LIPUS)で分かっていること|和歌山市

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公開日:2026年9月9日|執筆・監修:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長)

こんにちは。和歌山市和歌浦の和歌の浦翔鍼灸接骨院です。

「転んで手をついたけど、動くから折れていないと思う」「子どもが部活でぶつけて腫れている」「高齢の母が転んで、股関節を痛がっている」。骨折かどうか分からないとき、どこへ行けばよいのか迷われると思います。

この記事では、骨折を疑うサイン、その場でできる応急手当、そして接骨院が法律上どこまで関われるのかをはっきり書きます。あわせて、当院にもある超音波骨折治療器(LIPUS/オステオトロンV)について、研究で分かっていることを正直に書きます。読んで期待外れになるかもしれませんが、事実をお伝えします。

【この記事の結論】

1. 「動かせるから折れていない」は誤りです。骨折していても動かせることがあります。

2. 接骨院は骨折の応急手当まではできますが、そのあと続けて施術するには医師の同意が必要です(柔道整復師法 第17条)。レントゲンも診断も薬の処方もできません。

3. 新しい骨折に対する超音波治療(LIPUS)は、25件の試験・1,556人のまとめで、骨がつくまでの日数が147日と150日でほとんど差がありませんでした。

4. 国際的な推奨では、新鮮な骨折に対してLIPUSを「行わないこと」が強く推奨されています。当院も「これで早く治る」とはお伝えしていません。

5. 一方、骨がつかない偽関節や遷延治癒では、効果を示す報告もあります。日本の健康保険も、医療機関での手術後や難治性骨折に限って算定できる仕組みです。

1. 骨折を疑うサイン

体重をかけられない、変形している、1点だけ強く痛むなど骨折を疑うサインの一覧

図1|骨折を疑うサイン

いちばん多い誤解が、「動かせるから折れていない」というものです。ひびが入っている程度の骨折や、指・肋骨・足の甲などの骨折では、痛みをこらえて動かせてしまうことがあります。

特に注意していただきたいのが、高齢の方が転んだあとです。骨が弱くなっていると、軽く尻もちをついただけでも背骨や太ももの付け根が折れることがあります。「歩けているから大丈夫」とは限りません。

2. 骨折を疑ったときの応急手当

固定・挙上・冷却などすることと、引っぱって戻すなどしてはいけないことを並べた比較図

図2|骨折を疑ったときの応急手当

固定するときのコツは、折れているかもしれない場所の前後の関節ごと動かないようにすることです。前腕なら手首とひじ、下腿なら足首と膝を含めて固定します。段ボール、雑誌、傘、タオルなど、身近なもので構いません。

変形しているときに、自分で引っぱって戻そうとするのは危険です。周りの血管や神経を傷つけることがあります。そのままの形で固定して、医療機関へ向かってください。

3. 法律で決まっている、接骨院の役割

ここは、はっきりさせておきたい部分です。柔道整復師にできることは、法律で定められています。

柔道整復師法第16条・第17条の条文と、応急手当を除き医師の同意が必要であることを示した図

図3|法律で決まっている、接骨院の役割

つまり、けがをした直後の応急手当——固定や冷却——は、当院でその場で行えます。しかし、そのあと通っていただいて施術を続けるには、医師の同意が必要です。骨折の場合、まずレントゲンで確認していただくのが順序になります。

「接骨院なら骨折も全部診てもらえる」という説明を見かけることがありますが、正確ではありません。当院は、医療機関と役割を分けたうえで関わります。

4. 超音波骨折治療(LIPUS)で分かっていること

当院には超音波骨折治療器(オステオトロンV)があります。微弱な超音波を当てて骨の修復を促す機器で、「LIPUS」と呼ばれます。接骨院の広告で「骨折が早く治る」と紹介されることの多い機器です。

ですが、研究の結果は次のとおりです。

新鮮骨折・偽関節・日本の保険適用それぞれについてLIPUSの根拠を整理した図

図4|超音波骨折治療(LIPUS)で分かっていること

25件の比較試験・1,556人をまとめた結果、骨がレントゲンでつくまでの日数はLIPUSあり147日、なし150日。仕事に戻るまでの日数、痛み、体重をかけられるようになるまでの日数、どれも意味のある差はありませんでした。これを受けて、国際的な推奨では新鮮な骨折に対してLIPUSを行わないことが強く推奨されています。

一方で、骨がなかなかつかない偽関節・遷延治癒については、効果を示す報告もあります。日本の健康保険で超音波骨折治療が算定できるのも、医療機関において手術後(3週間以内の開始)や、他の治療で治らない難治性骨折に限られています。

当院がこの機器を使うのは、痛みの軽減や組織の回復を目的とした補助としてです。「これを当てれば骨折が早く治ります」というご説明はしていません。

5. 当院での流れ

応急手当、医療機関の受診、医師の同意のもとでの継続、動きを戻すという4段階を示した図

図5|骨折が疑われる方の、当院での流れ

骨折が疑われる方がお越しになった場合、まず応急手当を行い、医療機関の受診をおすすめします。近隣の整形外科の目安もお伝えします。

レントゲンで骨折が確認され、医師の同意が得られた場合には、固定の管理とその後の施術(後療)を当院で続けることができます。健康保険の対象になるのはこの部分です。

骨がついたあとに残るのが、固定していた期間に落ちた筋力と、硬くなった関節です。ここを戻すところまでが本当のゴールです。運動を続けたい方は、同じ建物の併設ジムで続けられます。ご利用は任意です。

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6. 正直にお伝えします

◎ はっきりしていること

・接骨院は骨折の応急手当まではできますが、その後の施術には医師の同意が必要です(柔道整復師法 第17条)。

・新しい骨折に対するLIPUSは、骨がつくまでの日数・痛み・仕事復帰のいずれにも意味のある差がありませんでした。

・骨折で健康保険が使えるのは、原因のはっきりした急性のケガであり、医師の同意が得られている場合です。

△ 注意して読んでいただきたいこと

・「超音波を当てれば骨折が早く治る」という説明には、新しい骨折については根拠がありません。当院もそう説明しません。

・偽関節・遷延治癒に対する報告はありますが、研究の質と数は限られています。

・当院ではレントゲンを撮れません。「骨折していません」と当院が断定することはできません。

・骨折を接骨院だけで完結させることはできません。医療機関と並行して進めるものです。

折れているか分からないときも、まずご連絡ください。

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7. よくあるご質問

Q. 骨折かどうか、接骨院で分かりますか。

A. 腫れ方、押したときの痛み方、動かしたときの反応などから「疑わしいかどうか」はお伝えできます。ただしレントゲンが撮れないため、「折れていない」と断定することはできません。疑わしい場合は必ず受診をおすすめします。

Q. 病院でギプスをしています。接骨院に通えますか。

A. 医師の同意が得られていれば、固定の管理とその後の施術を当院で行えます。まず主治医にご相談ください。同意の取り方が分からない場合はご案内します。

Q. 健康保険は使えますか。

A. 骨折は柔道整復の健康保険の対象です。ただし応急手当を除き、医師の同意が必要です。費用は初回にご説明します。

Q. 超音波を当ててもらえますか。

A. 使うことはできますが、新しい骨折について「これで早く治る」とはお伝えしていません。痛みの軽減や回復の補助としての位置づけです。この説明をしたうえで、ご希望を伺います。

Q. 骨がついたあと、動かなくなった関節は戻りますか。

A. 固定期間が長いほど時間はかかりますが、動きと筋力を段階的に戻していきます。どこまで戻るかは、骨折の部位や固定期間、年齢によって差があります。見通しは評価のあとにお伝えします。

Q. 夜や休日でも診てもらえますか。

A. 受付は9:30〜22:00、年中無休です。ただし骨折が強く疑われる場合は、当院より先に救急外来・整形外科をおすすめすることがあります。

まとめ

・「動かせるから折れていない」は誤り。1点だけ強く痛む、短時間で腫れた、変形しているは要注意。

・応急手当は、前後の関節ごと固定して、高く上げて、布ごしに冷やす。引っぱって戻さない。

・接骨院は応急手当まで。その後の施術には医師の同意が必要(柔道整復師法 第17条)。

・新しい骨折へのLIPUSは、骨がつく日数も痛みも意味のある差がなかった(147日 対 150日)。

・骨がついたあと、固定で落ちた筋力と関節の動きを戻すところまでがゴール。

参考文献

1. Poolman RW, Agoritsas T, Siemieniuk RAC, et al. Low intensity pulsed ultrasound (LIPUS) for bone healing: a clinical practice guideline. BMJ. 2017;356:j576.

2. Schandelmaier S, Kaushal A, Lytvyn L, et al. Low intensity pulsed ultrasound for bone healing: systematic review of randomized controlled trials. BMJ. 2017;356:j656.

3. 柔道整復師法(昭和45年法律第19号)第16条・第17条

4. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の支給基準」

5. 診療報酬点数表 K047-2 難治性骨折超音波治療法/K047-3 超音波骨折治療法

執筆・監修 石川 翔(いしかわ しょう)

和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長/Titanium Fitness Gym 代表トレーナー

・柔道整復師(国家資格)/はり師・きゅう師(国家資格)

・3年制の医療系養成校を2校修了。柔道整復師は学年首席で卒業

・バスケットボールチーム「ONELYS wakayama(ワンリーズ和歌山)」チームトレーナー(Bリーグ入りを目指すSB1リーグ所属/ジム・接骨院としてオフィシャルパートナー契約)

・プロゴルファー 濱田茉優 選手 ツアートレーナー

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療の指示ではありません。当院は医療機関ではなく、柔道整復・はり・きゅうの施術所です。骨折の診断はレントゲン等による医師の判断が必要です。強い変形、開放創、体重をかけられないほどの痛みがある場合は、ただちに医療機関を受診してください。

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